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アンジェリカの微笑み(原題:O Estranho Caso de Angelica)

マノエル・デ・オリヴィエラ監督

人は死体に一目ぼれをするのだろうか?
ただし、ネクロフィリアでない普通の青年のケースだ。

ポルトガルのポルト近郊の街に暮らす青年イサク
彼は写真家だ。
ある雨の夜、上流階級そうな婦人に「娘の死に顔の写真を撮ってほしい」
と頼まれる。
屋敷に行くと眠っているように見える美しいブロンドの娘アンジェリカの姿があった。
イサクが写真を撮るとファインダー越しにアンジェリカが目を開いて微笑みかけた。
その日からイサクはアンジェリカに恋い焦がれおかしくなってゆく。

世界最長齢の監督マノエル・デ・オリヴィエラの遺作となった
この作品はとてもロマンティックなラブストーリーに仕上がっている。
ただし、人によってはホラーに見えたり、おかしな話だったで終わるかもしれない。
そして、美しいショパンの曲に乗せて、一切現代の曲は使用していないのもこの作品の雰囲気に合う。

アンジェリカを演じるのは「シルビアのいる街で」「女王ファナ」のピラール・ロペス・デ・アジャラ
彼女は今回ブルネットに近いブラウンからブロンドに変えて挑む。
ほぼ、眠るだけで一言も発しないのだが、印象的で人の心を掴むには充分な
美しさだ。
ジャック・ドゥミ監督の「王女とロバ」のカトリーヌ・ド・ヌーヴを思い浮かべるほどである。

イサク役にはオリヴィエラ作品の常連、ダルデンヌ監督作品で例えるとオリヴィエ・グルメのポジションのリカルド・トレパ。
ラテンの国には似合わない神経質そうな青年に扮している。

劇中、アンジェリカに心奪われ
毎晩アンジェリカの幻想か幽霊に誘われ2人は抱擁しながら星空を漂う。
このシーンが印象的で美しいのだが
カレル・ゼマンの「ほら、男爵の冒険」の切り絵を思い出す。
ぼんやりした霧のような二人が夜空に浮かぶ姿は美しい。

イサクは普段は近くの畑を耕す農夫たちの写真を撮る
無心で撮る様はホラーのようだ。
しかし、裏腹に農夫たちは良い顔をして写真に写る。

昼間の生活とは異なり、毎晩のアンジェリカとの逢瀬は
夢物語のようで鑑賞している側もうっとりしてしまう。

そして、朝になるとイサクはアンジェリカを探し求めてしまうのだ。
「アンジェーーーーーーリカ!!!!」という悲痛な叫びは
シーンによってはコミカルに見えるのだが彼の気持ちが解らなくもない。

ある日の昼間、アンジェリカが来た際、イサクは堪らず身体が邪魔だと
自らの肉体を捨ててしまう。
そして、2人とも魂のまま抱き合うのだった。

何て美しい話なのか。
これをラブストーリーなどと
そんな陳腐な表現でまとめたくはないが

これは紛れもなくある青年がある女性に魂ごと捧げた愛の話だと思う。







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