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ヒメアノ~ル

吉田恵輔監督

古谷実原作の「ヒメアノ~ル」
彼の作品は「シガテラ」「ヒミズ」しか読んだことは無いのだが
若者の日常(葛藤、無気力)と犯罪を上手く結びつけるので
読後何とも言えない気持ちになる。

そして、今回の「ヒメアノ~ル」もまた若者の日常、恋愛
そして、裏ではサイコサスペンスな犯罪が起こり主役の岡田の
日常にも侵食していく。

特に配役が素晴らしく、夢もやりたいことも無いフリーターの岡田役に
濱田岳。
そのバイト先の先輩で恋愛体質のストーカー気質安藤にはムロツヨシ

そして、主役と呼べるサイコキラーでありヒールの森田役に森田剛

まず、森田剛と聞いて演技が出来るというイメージを持つ人は少数だと思う。

演劇や映画が好きな人間ならば彼の演技が素晴らしいことを知っているだろう。

しかし、アイドルグループV6メンバーの彼しか知らない者は
ただのヤンキーっぽい風体のお兄ちゃん(過去にはあまり良くない噂もあった)
というイメージしか無いだろう。

森田剛が凄いかもしれないと思ったのは
演技者という番組で「マシーン日記」のミツオ役を演じていたときだった。
今回の森田という人物もミツオと多少被る。

一言で言えば「危険人物」

ミツオと異なる点は森田は普段は空を見つめて何を考えているのかわからない
ボーっとした若者というところだろうか。

話を「ヒメアノ~ル」に戻すとまずは良くある邦画のように
岡田と安藤のコミカルなやりとりから始まる。
そこに安藤の意中の女性(作中 運命の女性と言っていたか)
阿部ユカ(佐津川愛美)が加わって安藤の一方的な三角関係となり
少し微笑ましい日常が描かれる。

そして、岡田とユカの交際が始まると同時に
森田の影が忍び寄り最高に格好良い音楽と共に本編が始まる。
それは誰が観ても「あ、これまでが長いアバンだったんだ・・・」
と気づかされる。

そして、森田中心に物語が進むとそれはもう残虐でしかない。
まるでキム・ギドクの映画を観ているような感覚に陥る。

問題であり話題の性交シーンと殺戮シーンを交互に見せる演出は
男女で異なる気持ちになるだろう。
女性である自分は興奮は覚えず、ひたすら痛そうだ・・と月並みな恐怖を感じていた。
そして、人間は意外に簡単に死なない。
そこに恐怖を覚えた。

しかし、森田剛はやはり身体能力が高い。
サイコパスな殺人を犯して行くのだが全てサマになっているのだ。
巨漢な和草に殺されかけた時も鉛筆で見事に頸動脈を刺すのだが
その動きたるや少し見惚れてしまうのだ。

前半は岡田と安藤にしか目が行かないのだが森田が覚醒を始めてからが
飲み込まれる。

そして、濱田、ムロの演技も勿論素晴らしく緊迫したラスト周辺では
2人ともヒロイン佐津川を守る格好良いヒーローのような行動を取る。

岡田が何かに気付いて警察に電話を掛け、ユカの待つアパートまで
急ぐシーンはこちらも「早く!早く!」と拳を握ってしまった。

佐津川の体を張った演技も綺麗な役しかやらない日本のアイドル女優
のイメージを覆す良いものだった。

ムロツヨシのちょっとおかしな中年をやらせたら右に出る者がいない感じも健在で
それでも、この安藤という役はおいしい役だったし、この映画では彼のようなキャラクター
がいないと本当に救いが無かったと思う。

そして、森田にもなぜ彼がこうなったのかという経緯で
高校の頃酷いいじめに遭っていて、本当は岡田と仲が良かったが
岡田も保身の為彼と距離を取るようになったというものだった。

ラストのシーンをどう捉えるかは鑑賞者次第なのだが
観る者によってはせつない友情の記憶だと思うし
サイコパス森田を産む間接的な原因となってしまった岡田の
贖罪は続くという見方も出来る。

しかし、これぞ本物のサイコパスという演技をした森田剛
彼には今後も邦画で活躍してもらいたい。







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上半期 ベスト10

SNSで賑わっているこの企画に乗ってみる。

この上半期は例年より邦画を観ていた。
しかしながら、評判の良い是枝監督の「海よりも深く」や「64 前編」を未見なので
そこを入れられないのが心残り。

1 スポットライト

2 Room

3 リリーのすべて

4 ロイヤルコンセンへボウオーケストラ

5 ヒメアノ〜ル

6 帰ってきたヒトラー

7 Civil war: Captain America3

8 ちはやふる 下の句

9 マジカルガール

10ヤクザと憲法

うーん。。。あと数本観たい作品を残しているので
もしかしたら変動するやも。 


LISTEN

共同監督・撮影・制作:牧原依里・雫境(DAKEI)

渋谷の映画館アップリンクの企画でクラウドファンディングで
資金を集め製作したある種異色作。
友人も関わっており、この作品に参加出来ることは
羨ましくもあり、素晴らしいなあと月並みだが尊敬している。

聾唖という文字は耳と口が申し訳なさげに小さく入る。
「耳が籠る」「口は次」とは良く作ったものだと感心してしまう。
この映画こそがその耳が籠り口は次のハンディキャップを持った
方々が静の中で動を表現するサイレントであって音楽が流れているかのような
不思議な映画だ。

やはり、聾唖というと同情だったり他の人は違うと思いがちだが
この作品に出てくる人はそれを乗り越えたのだろうか
生き生きとしている。

もちろん、過去に「音楽」の授業が嫌で出なかった等
本音も手話によって語られる。

特にこの作品の素晴らしいところは雫境(DAKEI)氏の
振付やダンス指導の力もあるのだろうが
耳栓をして自分の鼓動や脈打つ音を感じながら
彼らのダンスを見るとそれ以外に曲が聴こえる感覚に陥る。

昨年からハンデを持った人の作品に出会うがどれも良く出来ている。
今後もこういった作品は積極的に鑑賞したい。

そういえば、アメリカのコミック界のアカデミー賞「アイズナー賞」
を受賞したマット・フラクション先生のホークアイシリーズ
でも常人ヒーローホークアイが敵の攻撃により途中から聴力を失い補聴器を使って生活するのだが
全編手話で表現しているEPがある。

21世紀なのだからそういう差別的な描写はナンセンス。
もっとオープンに行こう!
と言われているかのような衝撃を受けた。
実際、このコミックは良く出来ておりまたこんな切り口のアメコミが
出ないものかと待ち望んでいる。

そして、このLISTENでも同じように
同情や奇異の目で見るのではなく
彼らの可能性を広げて行き共存していける世の中になると良い。

ガールズアンドパンツァー劇場版 立川爆音

水島務監督

2012年の秋頃だったか友人に会った際
最近、始まった女子高生が部活で戦車を乗り回す
アニメを観ている

と言われ、正直意味がわからなかった。

数年後の劇場版鑑賞後、まさか全話観ることになるとは
夢にも思わなかった。

銃器は好きで多少知識があると自負するが
戦車となると有名所のティーガーくらいしか
知識が無い自分だったが各戦車の製造背景や奥深さとデザインに
惚れ惚れしてしまった。

この作品については簡単に説明すると
茶道、華道のように戦車道という女性のたしなみ
が存在する。
そして、スポーツとして各学校が対戦する。
殲滅戦、フラッグ戦と2種類の戦い方が存在し
前者はその名の通り相手側を走行不能にする
後者はフラッグ車を一台決めてそれを走行不能にすれば
勝利となる。

戦車はトンあるので普通の道路は走れないが何か
加工がしてあるのか問題なく街中を走る
特殊なカーボンのお蔭で爆撃に遭っても問題ない
いくら小型戦車とはいえイタリアのカルロ・ヴェローチェCV33
を女性数名で転がす
などちょっと気になる点はあるのだがアニメーションなので
突っ込むのは野暮なのだろうか。。

今回の劇場版ではアニメで撤回されたはずの
主人公西住流の次女 西住みほ率いる
大洗女子高校が廃校の危機が再度押し寄せる。
そこで、本撤回になる条件が「数年後に控えた戦車道の世界大会選抜チームに
勝利すること」だった。

自分もそうだったのだが、このガルパン劇場版に於いては
是非立川爆音上映で観て頂きたい。

というのも自分は
初回 立川爆音
2回目 立川爆音
3回目 4DX
で鑑賞したのだが爆音の音質が良すぎて
4DXの音質じゃ満足出来ないのと他の人たちが言う
「戦車に乗っている」という感覚があまりピンと来なかったからだ。

立川爆音シリーズでもこのガルパンは特に力を入れていると思う。
他数本爆音で鑑賞したがどれもガルパンの音には敵わないのだ。

冒頭のエキシビジョン戦での重低音、対 選抜チーム戦
どれも素晴らしく伴う音楽もマッチして心は高揚する。

そうすると、女子高生が戦車を乗り回すというミスマッチな描写も
なぜかスポーツものとして受け入れることが出来てしまう。

本来、戦車とは戦争で使用する武器で大量殺戮兵器でもあるのに
可愛らしいキャラクターデザインのお蔭なのかそれは戦争ではなく
あくまでスポーツとして認識してしまう。

逆に、最近鑑賞した「ガンダムオリジンⅢ」での暁の蜂起は
完全に戦争だった。

ストーリーや設定に惹かれなくとも
立川シネマシティの音響チームが本気で
作り出した音を聞きに是非一度は観てほしい。

2016年9月まで延長上映が決定し
OVA これが本当のアンツィオ戦です!
やアニメシリーズ全話オールナイト上映企画も
あるので興味が湧いたらそちらも是非。

LORA 

ジャック・ドゥミ監督

ジャック・ドゥミの初期作品である「ローラ」彼の後々の作品にある
要素が詰まっており、とても美しくも何とも言えないドラマになっている。

ドゥミの故郷のフランス ナントで撮影。
ナントに行った際、小さいながらもアートや音楽で充実しており
パリなどの大きな都市とは違い人も暖かかったのですっかり虜になってしまった。

この作品でも数十年前とは言えパッサージュはほぼそのままだったが
数か所だけで撮ったようでもっと素晴らしい場所はたくさんあるはずなのに・・
という残念な気持ちもあるが作品自体そうそう明るいものではないので
逆にこの撮り方で良いのかもしれない。


シングルマザーのローラには待ち続けている恋人がいる。
子供を育てながらダンサーをして、その美貌なので恋人候補は
複数いるのだが、心の中はいつもその恋人でいっぱいのローラ。
彼を待ちながらナントのキャバレーで踊り子として働くが。。。

ローラの少女時代と人生が被るように14歳の少女が影のヒロインのようになっている展開が
また素晴らしく、すれ違い続けて会えない撮り方は「ロシュフォールの恋人」を彷彿とさせる。

ローラを好きだと気付く幼馴染は後の「シェールブールの雨傘」で宝石商になってカトリーヌ・ド・ヌーヴと
結婚するのだが彼はシングルマザーに縁があるなあ。。

恋とフランス郊外とダンスや音楽などドゥミ作品要素はほぼ入っているのだが
ストーリーによってこうも異なる見え方がするのでジャック・ドゥミの作品はやはり良い。

この「ローラ」も続編があるのだがこちらは未見なのでそろそろ観たい。

Dead Pool 

監督:ティム・ミラー

2016年度のMCU作品でも共興成績優秀なのが
なんとデッド・プールだと。
世の中も娯楽に関して寛容になったということだろうか。

デッド・プールは日本での知名度はアメコミやゲーム好き以外には
ほぼゼロだと予想する。

アメリカ・台湾等各地での成績が良かったからか
日本でもシビル・ウォーよりCMを見かけた。

配給の力の入れようで日本でも良いスタートを切ったようだ。

このデッド・プールは元傭兵で特殊能力(再生能力)を持つため
正直無敵である。
そして、他のヒーローには無い「第四の壁」を破る、多重人格(この設定は
原作を焼き直して新たに作品を刊行するマーベルNOW!シリーズでは無くしたようだが。。)
とにかくクレイジーなアンチ・ヒーローなのだ。

特にアメリカ国民なら今や時の人となっているトランプ氏と重ねる面もあるのではないだろうか?
自分の良いと思うことや人の為なら戦い、歯に衣着せぬマシンガントーク等やはり彼を重ねてしまう
と言ったらファンから非難されてしまいそうだ。。

それだけ大人気で日本でも映画でファンになった層のためにか毎月邦訳コミックが
発売されては数日で売り切れる状態が続いているようだ。

原作をいくつか読んだことがあるが、こんな話をどうやって映画にまとめるのか
と不安に思ったがX-MENなども加えてラブストーリー要素も入れながら
上手く作っていた。

個人的にはDCのグリーンランタンも好きなので失敗に終わったことをネタにしていたが
グリーンランタン役だったライアン・レイノルズは今回のデッドプール役で名誉挽回と言った所だろうか?

一見めちゃくちゃでやりたい放題のデッドプールことウェイド・ウィルソンだが
ある種非常に魅力的なキャラクターでもあるので扱いも良い。

X-MENサイドは彼を仲間に入れたくて何度も交渉するのだが
自分をヒーローでは無いと言い切るウェイドなのでなかなか思うように行かない。

その辺りもコミカルに描きつつ大団円に持って行くのが新しい。

次回作では凸凹コンビながら良い味を出しているケーブルおじさまも出るらしい。
次回は登場人物も増えて面白いことになりそうだ。


しかし、これだけ低予算なのにシビル・ウォーに負けていないのだから
今後のアメコミ映画は いかに内容をキャッチ-なものにするかなのだろうか。




Captain America / Civil War シビル・ウォー



MCUシリーズの中でも長編となりそうなシビルウォーシリーズだが
今回はアベンジャーズ3というよりキャプテンアメリカ3として
キャップとアイアンマン中心で描かれている。

舞台はアベンジャーズAOUの1年後になりある事件で
多数の犠牲を出したことから国の管理下に置かれる
ソコヴィア協定を巡り均整を保っていたはずのアベンジャーズに
亀裂が生じる。

マーベルの世界は繋がっているので基本何となくでも
それぞれの作品を知っている方が話に入りやすいというのが
初心者には難点だ。

特に、キャプテン・アメリカことスティ-ブに関しては
WWWⅡで活躍した肉体改造された人間であるという点と
コールド・スリープによって保存された状態だったので
現代でも当時と同じその名で活躍をしている。
という点を理解していないとウインター・ソルジャーとアイアンマンの間で
彼はなぜあの選択をしたのか等理解しづらいと思う。

しかし、マーベル作品を良く知る者に関しては
このシビル・ウォーという作品は非常に良く出来ており
監督、役者、技術等の関わった者全てに拍手を送りたい作品になったはずだ。

あくまでメインはソコヴィア協定を巡って派閥が別れてしまう点と
新たにブラック・パンサーというヒーローが悲しい形で生まれてしまったことだろうか。

そして、サプライズとしてはお馴染みのスパイダーマンとアントマンも加わる点だろう。
スパイダーマンは来年新シリーズが始まるため、キャストも一新するので
まだ幼さが残るトム・ホランドが演じる。
軽口を叩きながら戦う様は少々デッド・プールを重ねてしまう(過激な下ネタはゼロだが)
あとは、無くてはならない「メイおばさん」が気だるげなホットな美人になっていたのは少々ショックだったが
新シリーズということで楽しみではある。
余談だが、ブラック・キャットことアリシアは出てくるのだろうか。。

シリアスに偏りすぎず笑えるシーンもあるが、キャップ、アイアンマンどちらの気持ちも理解は出来るので辛くなる
というラストからエンドロールに移行する際一番盛り上がるというMCUシリーズの上手さは相変わらずだ。
正直、AOUは琴線に触れなかったがシビル・ウォーは再度劇場に足を運びたいと感じた。

とは言えどもこのシビル・ウォーという一大叙事詩は始まったばかりだ。
フェーズ3に突入したMCUが今後どうなってゆくか見ものである。

ズートピア

アナと雪の女王のスタジオが新たに作品を発表するやいなや
世界中で大ヒットとなっているズートピア

動物が人間のように服を着て、職業を持ち働く。
動物たちの楽園都市「ズートピア」

彼らは都会に出て一旗上げるのを目標に田舎から出てくる者もいれば
自分の地元で農園を経営する者もいる。
べイマックスでのサンフランソーキョウを思い出すような
夢のような大都会ズートピアのデザインは素晴らしかった。

ズートピアは草食動物が9割、肉食動物が1割の構成だが
その割に目立つのは肉食動物だなあという印象が強い。

各々、動物の質感が良く現されておりその点は魅入った。
ストーリーに関してもまとまっていたし面白いのだが
やはり、アクションやバディものという感覚で見てしまうと
正直物足りなさが残る。

草食動物が差別を受ける世界観はなんだか人間世界と同じで
動物と暮らす身としては
そういうのはあまり見たくないなあというのは人間のエゴだろうか?

うさぎのジュディが活躍する姿を見て亡くなった愛兎の蛍火を思い出した



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