スポットライト ~世紀のスクープ~(原題:Spot Lights)

トム・マッカーシー監督

2001年  世界中がTVに釘漬けになり、現実なのか映画の世界なのか
困惑させられたあの9.11テロが起きた。

そんな中、追い打ちをかけるかのように神父による児童性的虐待というニュースが
世界中を巡った。

その事実を明るみにしたのが米国新聞社のチームスポットライトだった。

重い内容をロジカルな会話劇に仕立て上げながらもクライムサスペンスのように
登場人物たちと一緒にドキドキするようなエンターテイナメント溢れる作品になっている。

特に、昨年のバードマンで久々にスクリーンで見たマイケル・キートンが頑張っている。
彼が実質主役だと思ったがエンドロールのクレジットには彼の部下を演じたマーク・ラファエロ
だったので彼が主演なのか?
しかしながらマーク・ラファエロの演技も大変素晴らしかった。

児童が性的虐待をされたという事実に加えて神父が行ったことなので明るみに出来ない
というのはまた宗教の闇を垣間見た気がした。

そもそも、日本では明治政府の策略によって仏教が衰退するように
僧侶の婚姻を認めたので宗教が強いということは無い。
しかし、キリスト教に関しては未だに神父、尼は生涯独身でなくてはならない。
このことも結びついて性的に曲がった人間が出てきても仕方が無いのかもしれないが
やはり、神に従事する者がそれでは信者としては何を信じたら良いのか解らなくなるだろう。

チームスポットライトの面々はそれぞれ調査を行うのだが、虐待をした神父の一人に
会った際、彼もまた性的虐待の犠牲者だったという事実も出てきたりと
特にそういったトラウマを持ち合わせていない自分からするとどうしても複雑な気持ちになってしまうのだが
チームの面々もその事実をうやむや、抹消してはならないと奮闘する姿に救われた。

最後の最後まで一切気が抜けず、大変面白かった。
トム・マッカーシーには今後も監督しても頑張ってもらいたい。

こういう作品がアカデミー賞で受賞することは意義があることだ。


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ルーム(原題:Room)

レニー・エイブラハムソン監督

子供と親の話なんて興味が無かった。
しかし、監禁されてその中で産み生きていくという実際にオーストラリア
で起きた事件を元にしているとの情報で、女性として一人の人間として
見てみようという気になった。

と偉そうなことを思ったり書いたりしたが、本当に素晴らしい作品なので
当時の自分に後悔した。

まず、男性と女性、子持ち、シングルで見え方が異なる。
周りの男性陣は「こんなに外が新鮮に見えたのは初めてだ」
ともう一人の主役である5歳のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)の目線になっていたようだ。

もちろん、そのシーンでの空の見え方も素晴らしかったが
何より、高校の頃より7年監禁をされている上に子供も抱えた主役のジョイ(ブリー・ラーソン)
の頭の回転の速さに驚いた。
もちろん、戸惑いながらも作戦を遂行して脱出と親を助け出したジャックにも。

特にこの作品は救出後、いかに世界に馴染むかというのが後半の流れで
失われた7年間はそんな簡単なものでは無いという面が痛切なまでに描かれる。
家族に当たり散らさないとやってられないし、自分の子供が普通じゃないんじゃないか
と不安になってどうして良いか解らなくなる様も嫌というほど鑑賞者に刺さる。

逆に子供の方が冷静でじっと耐えているのが印象的だった。
そして、周りに順応するのも早い。
この辺りが鑑賞者に伝わるのも
ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの力量なのだろう。

しかし、彼女がTVの取材を受けた際
世の中からの非情な疑問に答えた彼女は間違いなく母親だった。
特別なことなど無い普通のお母さんだった。

しかし、ジェイコブ・トレンブレイの演技は素晴らしかった。
これを見た人は全員彼を賞賛し、愛しただろう。

空を飛びたい盲目のブタ(原題:Blind Pig who wants to Fly)

エドウィン監督

2009年様々な映画祭で受賞したり上映された作品で
インドネシアの作品なのだが、東南アジア監督の作品は何となく
それぞれ色は違うのだが似たようなスピリッツを感じる。

アピチャッポンにヤスミン ツァンリャイミンもそうだろうか

この作品は数組の男女の話が同時進行で進む。
こういったパターンの映画は人物を追いきれないこともあるが
これは男女といっても親子ほど年が離れた二人や子供など様々なので
それぞれの人生が面白い。

盲目の歯科医のターンは印象的で、スティービーワンダーのI Just Called to Say I Love Youを熱唱しながら
治療する。
盲目にかけてのチョイスであろうし、ベタだが良かった。
彼のターンでは更に衝撃的な展開があるのだが、、、これは鑑賞した者だけの秘密にしたいところだ。

その他中国人のリンダが花火を食べる芸を行う。
そのあたりも大分衝撃的だった。

インドネシアにおいて中国人の割合は6%とのことで、これまたヤスミン監督の
「細い目」を思い出す。

やはり劇中で中国人という事で差別的な発言をされていたりした。
日本はマイノリティが少ない国なのでどうも実感しづらいのと
なんだかんだで海外の人々には気圧されてしまいがちなので表に出るくらいの
差別はあまりしないのだろうか?

この作品自体明るい内容ではないのだが
インドネシアにもう一度行きたくなった。



ロブスター

近未来のSF(ディストピア)という括りだと思うが
何とも新しい。

様々な理由で恋愛が上手く行かなかったり相手がいない男女を集めて
45日間で相手を見つけて結婚まで進む。
出来なければ希望の動物になる。

なんという無茶苦茶な設定だろうか。
この筋でうまく話がまとまるのか?

そして、今は世界共通で恋愛が出来なくなっているのだろうか?

とごちゃごちゃ考えていたが観てしまったら、何て凄まじく何て作品なんだろう
と度肝を抜かれた。

出演者が豪華でコリンファレルやレアセドゥまで出演している。
それぞれキャラクターが濃いのに演じ分けられており、一体どうなるんだ??とわくわく
したり、驚いたり、ソワソワしたり忙しかった。

恋愛をしなければならない施設と恋愛禁止の森という正反対な
組織がまたシニカルな役割をしており満足した。

希望の動物になれるなら悪くないが、やはり動物になるのではなく
側にいてもらって癒されたい。
と愛猫を膝に乗せながらしみじみ思った。
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